ムートンをふんだんに使った、見るからに暖かそうなフライトジャケットであるb3。1934年から陸軍航空隊で採用が始まり、1943年まで支給されたレザージャケットです。
第二次大戦期間中は爆撃機搭乗員達に愛用され、ボンバー・ジャケットとして多く戦地に赴いたはずです。保温性・耐寒性に優れ、極寒地での任務や、爆撃機の搭乗者などに支給されました。
大きく、肩に被るようにムートンたっぷりの襟が主張するデザインですが、このb3を着こなせる大人になりたいと思った人も多かったと思います。
そうした憧れの強いデザインなので、a2同様にb3ジャケットもビンテージが流通する一方で、完成度の高い渾身のレプリカも作られています。また意匠をモチーフにしたデザイン性の高い商品も作られています。
その中から8ブランドを選び、並べてみました。レプリカと言ってもオリジナルを凌ぐオーラを醸しています。一方の商品はb3ジャケットに対するオマージュの深さを感じることができます。
お気に入りを探してください。
おすすめ定番b3ジャケット:バズリクソンズ
東洋エンタープライズはバズリクソンズ(BUZZ RICKSONS)、シュガーケーン、インディアンモーターサイクル、 サンサーフなどをアメリカンカジュアルの得意とする老舗ブランドです。
その中にあってバズリクソンズはミリタリーウェアに特化した構成になっています。
こちらは、ラフウエア社が製造していた初期モデルを参考にしてます。背中のカッティングパターンまで忠実に再現し、非常に贅沢な仕上がりになっています。
ブラックのホースハイドと、ハイピングやベルトなどにカウハイドしかもブラウンをレイアウトすることで立体感のある表情を可能にしました。
デザイン性も高いので、ワークテイストのウールパンツ、ネイビーを合わせてみましょう。サスペンダーで吊るというのもアリですね。足元はミドルカットのポストマンシューズで仕上げです。
おすすめ定番b3ジャケット:リアル・マッコイ
リアル・マッコイは、日本のブランドですがアメリアのフライトジャケットを忠実に復刻する力量から、国内だけでなく海外でも高い評価を得るほどです。
ブランドの基幹は三つに分かれていて、ミリタリーの「リアルマッコイ (Real McCoy)」、ワーク系は「ジョーマッコイ (Joe McCoy)」、ライダーの人気に「ブコ (Buco)」デ構成されています。いずれのラインも、オリジナルに近い商品を発表しています。
素材は重量感のあるホースハイドと、柔らかいシープスキンを使い分けることで、アームの上げ下ろしや肘の稼働範囲を保っています。しかも両者の色が近いワントーンという気遣いが詰まった1着です。
太目でオンスの重いデニムパンツまたは打ち込みの詰まったワーク系のパンツ。厚手のソックスを履き、Wescoなどオイルがたっぷり効いたワークブーツで仕上げましょう。
ですが、着こなし以前に筋肉を増量する必要があります。
おすすめ定番b3ジャケット:ショット
MADE IN USAを貫き通し、古き良き時代の物作りを誇りとするブランドがShott(ショット)です。生産拠点を海外に移転する傾向が続くなかで珍しい存在と言えそうです。
このブランドにも当然のようにb3ジャケットがラインナップされています。こちらの商品はシープスキンを使いアップデイトされたタイプなので、購入してすぐに馴染みやすい仕様になっています。
しかしインナーのムートンの密度は高く保温性に優れているので、中はカットソーやロンT1枚でも過ごせるほどです。
扱いやすさが魅力なので、気軽に街に連れ出しましょう。いつものデニムパンツまたはチノパン、足元はコンバースのワンスターでレトロ感を味付けしましょう。
ポケットの中にもムートンが貼り付けてあるので手袋も不要。誰かの手を暖めてあげることも出来ますよ。
おすすめ定番b3ジャケット:Avirex
アヴィレックス社はアメリカに本社を置く老舗カジュアルブランドですが、ミリタリーウェアも得意としていて、タイプa2だけでなくb3ジャケットの出来映えも完璧です。
こちらもShottoと同様に、シープスキンを使うことで扱いやすさを追求したモデルになっています。何といっても軽さが魅力、気軽に羽織れる本格レザージャケットと言えます。
ふっくらとした、立体感のあるシルエットが特徴なので、細身のパンツとの相性が良さそうです。定番のブラウンの他、ブラックもラインナップされているのでブラックデニムを持ってきましょう。
エンジニアブーツでゴツく攻めるか、存在感のあるダッドスニーカーでモード寄りに向かうか。コーディネートが楽しめるb3です。
おすすめ定番b3ジャケット:THE CRIMIE
2002年に東京で誕生したブランドです。男くさいクセの強いデザインが注目され、圧倒的な支持を獲得、2008年には原宿に直営店をオープンします。
勢いは止まらず、期間限定ながらロサンゼルスのメルローズにLOS ANGELES店を展開。その後も快進撃は止まらず、現在は表参道、原宿の直営2店舗と全国各地のセレクトショップにルードなニオイを浸透させています。
映画や音楽など、それらが生まれたカルチャーの中に息づく「アメカジ=不良スタイル」をデザインルーツとして、色褪せしない、かっこよく、色気ある大人達に似合うアイテムを提案しています。
b3をベースに、より男くさい部分を引き出したジャケットの色使いは3種類。ブラック一色のものと、袖部分と身頃を2トーンで表情豊かにしたものがあり、どちらも目移りする出来映えになっています。
使う素材はシープスキンとカウハイドのコンビネーション。それほど重くないので気軽に使える構造になっています。またポケットはジップ仕様に変更され、使いやすさがさらにアップしています。
オリジナルより着丈が短く設定されているようです。ジャストで着ればシャープな印象が強くなり、サイズアップして中にG ジャンを仕込むとよりルードなニオイが蔓延します。
足元はスチールトゥのブーツでキマリでしょう。
おすすめ定番b3ジャケット:エンメティ
EMMETI(エンメティ)は、1975年にイタリアのフィレンツェ近郊で毛皮工房として創業、その後アウター全般を製造するブランドに転身しました。
コンセプトに掲げるのは『エレガンテ・スポルティーヴォ』、つまりスポーティーさとエレガントが共存するスタイルを提案し続けています。
高級素材を巧みに組み合わせる、このブランドならではのラグジュアリー感を醸し出していて、イタリアンファッションには欠かせない存在感を得てます。
b3をモデルにしたレザージャケットはARCHIBALD(アーチボルド)と名付けら、EMMETI(エンメティ)ならではの巧みが込められています。
インナーのムートンはビッグメゾンも使用するスペイン最高級タンナーのものです。非常に柔らかくしっとりとした肌触りで、優しくカラダを包み込んでくれる着用感が得られます。
表面はナッパを加工して仕上げていて、裏面の毛足をカーリーヘアに刈りこむほどです。そのためスエードに比べ、汚れが付着しにくく手入れが簡単だという利点があります。
さらに武骨ないイメージの強いb3を、EMMETI(エンメティ)ならではの解釈でアーム部分をやや細くし、着丈は軽くヒップにかかる程度のすっきりとしたシルエットにアップデイトしています。
エレガントなイメージを損なわないようにウールパンツで質感を統一しましょう。腰回りにゆとりのあるジャージ素材でもイイかも知れません。スポーティに装うことが肝心で、ガチなアスレチックウエアは避けたいところです。
おすすめ定番b3ジャケット:AKM
2006年、「wjk」のラグジュアリーラインとして「AKM」はスタートを切ります。wjkを立ち上げた橋本淳氏はセレクトショップのバイヤーを経て、単身でイタリアに渡り活動。その後、帰国して「wjk」を立ち上げています。
その後橋本氏は自身のブランド立ち上げのためAKMを離脱しますが、wjkの立ち上げメンバーであった小澤智弘氏がデザインワークに携わっています。
AKMは、レザーを中心に常にクオリティの高い素材だけを用い。エッジのきいたデザイン、タイトなシルエットが特徴です。そのコンセプトは「孤高のリアルクローズ 」、潔い姿勢が多くのファンを生み出しています。
まず目を引くのは、両サイドの裾部分についたウエストアジャスターベルトです。AKMオリジナルバックルを使うことで、オリジナルへのオマージュを表現しています。
素材はスペイン INPELSA 社の MERINO DOUBLE FACE を選定するほど。ここはARMANIなどビッグメゾンを主要取引先とするタンナーだと聞いています。最上級の素材を用い、ディテールをミリ単位で再構築することで現代に相応しいb3が完成しました。
最上級だからと言って、気後れする必要はありません。ダメージの効いたデニム、しかしハイブランドのものを合わせればしっくりハマります。冬の海へドライブ、寒さなど気にせずルーフトップ全開で向かいましょう。
おすすめ定番b3ジャケット:トイズ・マッコイ
トイズマッコイは、旧リアルマッコイズから分岐し1996年に創設したブランドです。完成度の高いレプリカモデルを得意とし、ミリタリーとくにフライトジャケットや、モーターサイクルをベースとしたウエアを作り続けています。
素材の放つ重量感といい、袖口や裾からはみ出したムートンの密度といい、男のレザーウェアに許されたスペックが見事に復元されています。
袖を通すと、その密度から狭く感じると言います。フロントジッパーを締めて数分すると首筋に汗を感じると言います。これ以上の防寒具は無いと断言してもいいでしょう。
このビンテージ感をさらにボトムアップするには、同じニオイのデニムしかないでしょう。リーバイスよりも無骨さを感じるLeeがイイかも知れません。インナーはサーマルのロンT1枚で事足りそうです。
b3に立ち向かうには。
やはり気になるのは重量感です。オリジナルに近い、ホースハイドを使ったレプリカにはずっしりとした重さがあります。それを”らしさ”と感じるか否かで道が分かれます。
華奢な体躯では遠慮したほうがいいのかも知れません。ある程度の年齢のかたも同様です。なので体力のある状態で手に入れ、長く付き合う事で”らしさ”が当然になるかも知れません。
何事も、一日にしてならず。b3を手なずけるには何シーズンかは必要になりそうです。それが正しい立ち向かい方ではないでしょうか。
寒い時期にb3を着続ける事で、背筋や肩のラインが整いそうです。するとTシャツ姿が映えて見えるはず。そうした副産物につながるかも知れません。