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ヨーロッパ在住者が行くパリ美術館めぐり…そしてイヴ・サンローランの歴史をひも解く旅

海外

明け方、セ-ヌ川沿いの朝焼けを堪能しながらエッフェル塔に。子供の好奇心をくすぐるファッション関連の博物館も目白押しのパリで、女性の憧れのブランド「イヴ・サンロ-ラン」の歴史を紐解きます。

子連れパリ旅行 朝のセーヌ川〜ノートルダム大聖堂、エッフェル塔気まぐれ芸術散策
フランス国内を網羅する格安バスの「OUIBUS」。こちらもたまにゲリラ価格を実施します。 「OUIBUS」の半額セールを使い、子供と一緒に金曜の夜出発し、土曜の朝パリに到着。土曜の深夜発で芸術鑑賞の旅に行ってきました。 今回は、朝焼けが美し...

エッフェル塔~パリ市立近代美術館まで

エッフェル塔からイエナ橋を渡り、ショイヨ-宮に。セ-ヌ川クル-ズは、この写真のエッフェル塔側の堤防沿いから出ています。

ショイヨ-宮手前にあった、まるでシルバニアファミリーの世界。

常設展は無料のパリ市立近代美術館

パリ市立近代美術館で行われていた期間限定の特別企画展。

通常、パリ市立近代美術館の常設展は無料で見ることができます。ラウル・デュフィの巨大な壁画、「電気の妖精」はとても見応えがあります。

残念ながら、改装工事中で2019年いつ再開するかまだはっきりとは分からないそうです。一部一般公開中ですが、「電気の妖精」は見れません。

オシャレ好きにお勧めのガリエラ美術館

パリ市立近代美術館と道路を挟んで反対側にあるのが、ガリエラ美術館。

ガリエラ美術館は、衣装、モ-ドに関する美術館です。田舎の家が一軒買える位の豪華な衣装が展示されています。

添付した動画は、フランス語ですが普段展示されていないストックの品まで紹介されています。

企画展がない時は閉鎖されていますが、よく手入れされた庭園に入ってベンチに座り、読書をする方もいます。

こちらも、2019年末まで工事のため、閉館しています。日程がずれる場合もありますので、公式サイト内でご確認ください。

セレブから愛されたイヴ・サンローラン

イヴ・サンローランは、アルジェリア出身のファッションデザイナー。

2002年に引退するまで40年間、世界をリ-ドするトップデザイナ-として大活躍し、「モ-ドの帝王」と呼ばれていました。

行く前に、この映画を見ていくと、楽しみも倍増すると思います。

こちらの動画はフランス語ですが、個人宅に保存されている貴重な作品をたくさん見ることができます。例えフランス語が分からない方でも、かなり貴重な映像を見ることができるのでおすすめです。

イヴ・サンローランは1953年、エコール・ド・ラ・シャンブル・サンディカル・ド・ラ・クチュール・パリジェンヌに入学しました。

IWS主催のデザインコンク-ル、ドレス部門にカクテルドレスを出展し、最優秀賞を受賞しました。

VOGUEのディレクター、ミッシェル・デブリュノフが彼の才能にほれ込み、クリスチャン・ディオ-ルに彼を紹介しました。

1957年、ディオ-ルも彼の才能をたたえ、次のショ-に彼を連れ出すと言いましたが、スタッフが反対。しかし、同年ディオ-ルの死により、彼はは21歳の若さでディオ-ルの主任デザイナ-に就任し、その才能を余すところなく発揮していきます。

1958年、秋のパリコレでトラペーズラインのデザインを重視したコレクションを発表すると、新聞で大絶賛を浴びました。

もちろん、彼のデザインしたお洋服はディオ-ルの顧客を虜にして放しませんでした。なんと、イギリスのウィンザー公爵夫人も彼の大ファンだったそうです。

しかし、1960年アルジェリア独立戦争に、フランス兵として徴兵されてしまいます。その20日後、軍隊のいじめにあった彼は精神病院に収容され、電気ショックなどの治療を受けました。

1962年、恋人のピエール・ベルジェの出資により「イヴ・サンローラン」を設立しました。

上記に添付した動画は、ブランド設立年の貴重な動画です。

1966年、「イヴ・サンローラン」のプレタポルテ「イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュ」のブティックをパリに開業しました。

広告塔 カトリ-ヌ・ドヌ-ブ

1966年、フランスの代表的な女優のカトリーヌ・ドヌーブもコレクションでモデルとして登場しました。更に、同年彼女が出演する映画「昼顔」の衣装もデザインしました。

彼女は、ブランドの香水や化粧品のイメ-ジモデルにも起用されていましたよね。

第17回カンヌ映画祭グランプリ作品、カトリーヌ・ドヌーブのセリフのすべてを歌で表現したミュージカル映画、「シェルブールの雨傘」。日本でも大ヒットした映画です。

イヴ・サンローランは、フランス侯爵の娘、外交官の娘、資産家などをモデルなどに向かえ、富裕層に絶大な人気を博しました。

有色人種に希望の道を与えたイヴ

黒人モデルとして初めて仏版ヴォーグ誌の表紙を飾ったのが、ナオミ・キャンベル。彼女が表紙に起用された背景には、イヴ・サンローランに彼女が漏らした一言がきっかけとなりました。

ナオミが、「仏版ヴォーグ誌は、黒人モデルを起用しないみたい」と彼に言ったら、「僕に任せておいて」と答えた彼。そして、彼女が表紙を飾ることが実現しました。

もちろん、彼はナオミ・キャンベルを初めてランウェイに起用しました。

更には、ムーニア、アフリカ出身のダイヤ・グェイェにも世界のトップモデルになるチャンスを与えました。

ム-ニアは、「彼のおかげで、肌の色に対する誇りをもつことができた」と語っています。現代でも、白人の有色人種への差別意識は、残念ながら存在します。彼の功績は素晴らしいですよね。

高級ブランドの偉業と買収

1989年、ファッションブランドとしては初となる、パリ証券取引所への株の公開をしました。

2001年、フランスのジャック・シラク大統領よりレジオンドヌール勲章コマンドゥールを授与されました。

しかし、同年グッチ・グル-プによりイヴ・サンローランは買収されてしまいました。

2002年の1月22日、パリでのオートクチュールコレクションを最後にイヴ・サンローランは引退しました。同年同年10月31日にパリ16区にあったアトリエが閉店しました。

2008年6月1日、彼はガンのため帰らぬ人になりました。

マルチな才能を発揮する後継者トム・フォ-ド

彼以上の才能を持つ後継者が見つからないだろうと言われましたが、2004年3月トム・フォ-ドをデザイナ-としてパリ・コレクションが開催されました。

トム・フォ-ドは、アメリカ合衆国テキサス州オースティン出身のファッションデザイナー、映画監督とマルチな才能を発揮しています。

1990年、ニューヨークからミラノに移った彼は、グッチのレディス部門のデザインを担当しました。

1994年には、グッチのクリエイティブ・ディレクターに就任。

2000年、イヴ・サンローランおよびグッチグループ全体のクリエイティブ・ディレクターも兼任しました。

2009年、クリストファー・イシャーウッドの小説を原作とする映画『シングルマン』で監督デビュ-を果たします。

この作品は、第66回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品されました。そして、主演のコリン・ファースが男優賞を受賞しています。

何と、彼の二作目になる2016年、「ノクターナル・アニマルズ」が第73回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で審査員大賞を受賞しました。

フランス人は、本当にオシャレ?

 

2014年に大ヒットした「フランス人は10着しか服を持たない」。本当の話?と思う人もいるかもしれませんが、もちろん人によって違います。

しかし、多くのフランス人は日本人よりも洋服の数は少なく、ファッションにお金をあまりかけない人が多いです。

ス-ツケ-ス一つで、シ-ズンごとに移り住み、季節労働をしながら、様々な土地の生活や文化、思想を吸収しようとする人も多いです。

また、多くの人がトレンドに左右されるのではなく、あくまでも自分のスタイルを貫きとおす人が多いです。服の数が少ない分、シンプルで着回しが効く服を持っている方が多いです。

トレンドには左右されないジ-ンズやカラ-パンツに、無地のシャツなど。

フランスでは、バ-ゲン時には通常3段階で割引率が高くなっていきますが、最終段階では75パ-セントオフ位まで下がります。

ファストファッションのお店なら、5ユ-ロ未満で買える品も多々あるのに、売れ残る品もたくさんあります。

何故なら、蚤の市では1ユ-ロ、2ユ-ロで状態の良い服が手に入ります。しかも、高級ブランド品が2ユ-ロで手に入ることも。

そのため、ほぼ1年中何度もバ-ゲンをするので、旅行者には嬉しい限り。

フランス人をはじめ、ヨ-ロッパの方々はお洋服代よりも、自分の余暇にお金を回す人が多いです。

長期休暇を取り、世界中に旅行に出かけアウトドアスポ-ツを満喫したり、芸術鑑賞をしたりと人生を思い切り楽しむことにお金を使います。

風を切って颯爽と歩いている姿が、日本人から見たらオシャレに見えるのかもしれませんね?

フランス人のファッションセンスを垣間見ることができるテレビ

フランスのテレビに、オシャレ選手権という企画ものがあります。

月曜日から金曜日まで、フランス中、時には隣接する国からオシャレ自慢が集まり、決められた時間内、決められた予算内、決められたパリのセレクトショップ複数軒の中から、決められたテ-マで最も自分のスタイルに合うコ-ディネイトとお化粧などを誰が一番優れているかを競う内容です。

皆さん我こそが一番と思い込んでいる個性的すぎる人が集まるのですが、ツッコミどころ満載のファッション。

もちろん、スタイリストが突っ込めるような方を集めているのでしょうが、彼女たちは10着ではなく山のようにお洋服も持っており、自分の出番の時に家のワ-ドロ-ブを披露してくれます。

時々男性版もありますが、これまた強烈な個性を持った出場者が多く、我が家ではコメディ代わりに見ています。

番組の冒頭に、「パリは世界のトレンドの首都だ」とナレーションがあるので、出演者の方々が試着するお洋服を見るとあれ?と思うことも多々あるのではないでしょうか?

更に、ファッション大国を自画するフランス。しかし、この番組のスタイリストはブラジル人の、Cristina Cordula。彼女は、モデル兼セレブのスタイリストもしており、フランスではこれ以外にも幾つも番組を持つ人気者。

もちろん、ギャラリ-ラファイエットなどに出店しているお店は素敵なお洋服が多々ありますし、パリの町にも素敵なセレクトショップも多々あります。

子供の好奇心も刺激するパリの旅

いかがでしたか?芸術の町パリには、様々な博物館、美術館がありますが子供と一緒に旅行する時は、子供目線で興味を引く博物館などを選ぶと、個性を育て、好奇心を刺激するので、勉強にも活かすことができますよね。

まだまだ、私たちの1日は終わりません。この後は、子連れで日本のチ-ム・ラボの特別企画展へ行ってきます!