『さんようやまちょう』と読みます。漢字で表記する、靴ブランドらしからぬ名前ですが、質実剛健な英国靴の作りを基本にしています。
しかしモデルによってはイタリア靴の艶っぽさを感じさせるものや、フランス靴のシャレっ気も備えたもの、アメリカ靴に負けないタフネスを誇るものまで揃えたメイドインジャパン。
いっさいの妥協はありません。モノづくりの姿勢が見える靴が並びます。さすが日本のアパレル業界を牽引してきた『SANYO』が送り出す靴です。深く納得するばかりです。
出来ればすべてのモデルを紹介したいとことですが、厳選を重ねました。酔いしれてください。溺れてください。
山陽山長とは?
三陽山長の歴史
三陽山長がSANYO(三陽商会)の靴部門として誕生したのは2001年のことです。しかし、その母体となるプロジェクト『山長印靴本舗』がその1年前に誕生します。中心人物は靴業界では有名な長島正樹氏。
長島氏は某有名靴メーカーで販売から商品企画まで広く携わり、その後アメリカやイギリス靴のインポーターとして実績を積み重ねた人物。チペワを普及させ、トップサイダーのディレクションにも関わっていました。
彼はアメリカ靴が大量生産、生産拠点の移転などによってクオリティが減退する現状を嘆いていました。そして日本のもの作りの将来を心配していました。その熱い思いが『山長印靴本舗』として結実します。
そのプロジェクトには浅草や高円寺など都内各所からの靴職人が集まりました。多くが手縫いに長けたベテラン、機械では難しい仕上げで美しい靴が生まれました。
現在の三陽山長で展開する基本モデルはこの段階で生まれたと言います。
1年後、SANYOというパートナーを得て『三陽山長』(さんようやまちょう)が発進します。長島氏が目指す美しい靴を、多くのお客様に届けることが出来るようになりました。
以来18年を経過しても、丁寧なもの作りの精神を忘れることはありません。新しい挑戦、コラボレーションにも取り組み進化を続けてます。
三陽山長のもの作り
ジャパンデニムが注目されています。日本人の体型をよく知り、パターンを起こし、丁寧に作りこむ。日本人に似合わないわけはありません。
同じように、日本人の足型をよく知り、木型を削り、丁寧に作りこむ。ベテラン職人たちが残した基本は、日本人に似合って当然でしょう。
しかも日々アップデイトを重ねています。変化する日本の気候風土、環境を踏まえて前進を恐れません。
また、製法にも特徴が。基本はグッドイヤーウェルトですが、モデルによってはボロネーゼ製法を用いる場合もあります。そのためイタリア靴のような顔立ちに仕上がるのです。
進化する機械縫いも積極的に取り入れています。しかし最終的には職人たちの厳しいチェックが入ります。
そのような思いがモデル名につながっています。ジャパンメイドという誇りを日本語で命名しています。例えばストレートチップは『友二郎』。
これにはルールがあって、最初の文字に【友】があれば ストレートチップ、同様に【源】- ダブルモンクストラップ【勘】- Uチップ【長】- ブーツ【弥】- ローファーという具合です。
日本刀のような趣きさえ覚えます。
山陽山長 おすすめの逸品1.【新弥/SHINYA】ローファー
外観はドレスシューズですが、スニーカーの履き心地を実現した、ドレススニカーとも言うべきのローファーです。
イタリア靴を思わせるスクエアトゥ。スタイリッシュなシルエットが魅力です。低反発性のインソール、イタリア製オリジナルのラバーソールを装着しスニーカー並みの履き心地です。スーツからジャケパンまでOK。
山陽山長 おすすめの逸品2.【友二郎/TOMOJIRO】ストレートチップ
最も美しいと評判の高い定番的。三陽山長のマスターピースモデル、ストレートチップの【友二郎】です。
素気ないほどシンプルなデザインと見せかけて、アイレットの横にはスワンネックステッチが静かに主張しています。
ビシっとダブルのスーツで。
山陽山長 おすすめの逸品3.【歩/AYUMU】レザースニーカー
コンセプトは歩くことを楽しむ。その為に生まれたレザースニーカー【歩】。
ドレスニにも使われる低反発性のインソールを搭載し、アッパー裏には柔らかいクッション素材を張り込みました。快適な履き心地を実現し、疲れ知らずという評判も高いレザースニーカーです。
画像からも上質な素材だと分かります。履き込み、適度にしわが入る頃には手放せなくなります。
ゴルフコンペの打ち上げなど、ジャケパンスタイルにリラックス感をプラスしたいときに。
山陽山長 おすすめの逸品4.【旬一/SHUNICHI】プレーントゥドレススニーカー
先の【新弥/SHINYA】と同じカテゴリー通称ドレスニに属するプレーントゥ【旬一】は外観から想像できない、スニーカーの履き心地を持つハイブリッド。
シルエットはボリューミーなアメリカンタイプですが、持つと驚くほど軽く、履き心地はソフト。一度足を入れたらクセになるので、気をつけて。
低反発性インソールと、国産の発泡性ラバーソールが出張などで活躍すること間違いなし。積極的にビジネスシーンで使いましょう。
山陽山長 おすすめの逸品5.【源四郎/GENSHIRO】ダブルモンクストラップ
二本のベルトが並行ではなく、足を包むようにレイアウトされた【源四郎】は、クラシックなのですが、華やかな足元を作り出します。
それは小さめなヒールカップと絞り込んだウェスト(土踏まず)という、少々エロい木型に原因があるようです。裏返してみると良く分かります。
モンクストラップは着脱しやすいので、脱ぎ履きの多い日本の環境に適したデザインだと言えます。磨くほどに光沢を放つ、インポートレザーを採用。靴磨きが楽しくなる一足です。
スリッポンタイプなので、セオリー的にはスーツには向かないとされますが、不自然さはなし。イタリアおやじなみに素足履きという手管で。