秋冬の装いで楽しみたいのがコートです。スーツやジャケットだけでは少し涼しく感じたら春でも着れるコットン仕立てのレインコートで、クリスマスソングが流れ始めたらウールコートの出番です。
期間にして3~4か月(地域差はありますが)にもなるので、満足の1着を探したいですね。着こなし次第ではオフタイムでも活躍してくれるので、なおさら気合を入れて選びましょう。
コート選びの基本スタイルなのが『ステンカラーコート』と『トレンチコート』です。世の中には様々なデザインのコートが出ていますが、元をたどればどちらかに源流があるはずです。特徴を理解して、木枯らし吹く季節の装いを楽しみましょう。
今回は『ステンカラーコート』について。その歴史や定義から始めます。パッと見はおじさんコートという印象を抱く方も多いのかも知れませんが、好感度高めのコートなのです。
『ステンカラーコート』は和製語。正式名称は『バルマカーンコート』。
デザインの定義として、①襟の後ろ側が高く、前に周りこんでいる。②ラグラン袖で動きやすい。③ゆったりとした着心地である。④比翼仕立てで前ボタンが見えない。⑤裏地があるほか、着脱できる防寒用のライナー がある。などです。
素材は、春秋向けは防水加工されたコットン、冬仕様ではウール(ツイードなど)が多く使われています。
『ステンカラーコート』は和製英語なので海外では通じません。「ステン」はフランス語のsoutien(「支える」と言う意味。英語のsupportに相当)に由来すると言われているようです。
「バルマカーン」とは、スコットランド・インヴァネスの近郊にある地名バルマカーンに由来し、コートの原型がここで誕生したと言われています。
バーバリー社やアクアスキュータム社のものが有名ですが、当社はラグランスリーブだったデザインも、現在はセットインスリーブ(肩と袖が分かれている仕様)も発売しており、よりシャープなデザインも一般的になってきました。
中にスーツやジャケットを着ても動きやすいラグランスリーブは、どちらかと言えばビジネスに向いているかも。
一方セットインは広くカジュアルまで対応してくれます。ブランドごとに特徴を整理して、ふさわしいコーデを探してみましょう。
ニッポンのコート。SANYOの100年コート。
「100年コート」は2013年三陽商会が会社設立70周年を迎えるにあたり策定した「TIMELESS WORK.ほんとうにいいものをつくろう。」の基幹を成すプロジェクトです。
いつの時代も変わらず、時に流されないものづくり。それらを基本に、お客様に永く愛されるコートを目指し細部に至るまで丁寧につくりました。
裏地やライナー等に使われるのは、歌舞伎の衣裳に使われる柄「翁格子」を元にオリジナルの配色したものです。これは松竹株式会社の協力を得て開発したオリジナルの「三陽格子」です。
表地は最高級の綿と言われるエジプト産<GIZA>コットン。高密度先染め素材を使用しています。
キレイに広がるAラインのシルエットは、中に着るものを邪魔しません。スーツやジャケットはぬかりなく対応。ローゲージニットを合わせても上品に決まります。
GRENFELL / SLIM CAMPBELL コットンギャバジン ステンカラーコート
GRENFELL / グレンフェル
1890年創業、英国の伝統を継承するコートなどのアウター作りに定評のあるGRENFELL(グレンフェル)。イギリスの著名な探検家であり医師でもあるグレンフェル卿の名に由来するそうです。
こちらは、防水加工を施した同社の代名詞とも言える「グレンフェルクロス」を採用したヴィンテージ感溢れるコートです。
裏地には保温性の高い、脱着可能なウールライナーが付いています。流行に左右されないベーシックなシルエットで、いつの時代も愛される1着です。
ゆったりしているので、スーツやジャケットスタイルに羽織ってもストレスはゼロ。インナーダウンに重ねたり、カジュアルな企みにも完全対応です。
H BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS <H>LOVAT TWEED RGLAN SLEEVE COAT/コート
BEAUTY&YOUTHから、次世代のツイードと注目されるLOVAT Tweedを使った、ビッグシルエットのステンカラーコートを紹介します。
ツイードと言えばハリスツイードたヨークシャ―ツイードがこれまでの主流でしたが、数年前から、次世代のファブリックとしてLOVAT Tweedを使うブランドが増えています。
その魅力は何といっても、その柔らかさとツイードならではの保温力。空気をはらんで丸く浮き上がるような感触が可愛らしいと言われえています。
この商品は、身頃も袖幅も相当ゆったりした出来上がりです。そして裏地はなくカジュアルな仕上がりになっています。
さらに前ボタンも袖口のボタンもなく、スナップで留める仕様になっています。スタンダードな顔立ちですが、少し捻くれたクセのあるコートです。
他人とは被りたくない、だけど個性も感じていたいという方にはぴったりだと思います。明るいベージュと、深いグリーンの2色で展開。
どちらも捨てがたい・・・いっそ2着?デニムでも、気になるワイドパンツでも受け止めてくれる、懐の深さが頼もしい。