引き立て役ファッションの注意点
ご自宅から車でパートナーとご一緒に、あるいはしかるべき場所で彼女をピックアップしてオペラ会場へといった場合には、あれこれ好きな服装を自由に選べるでしょう。
しかし、仕事帰りのオペラ鑑賞となると、そうそう好き勝手な服装のチョイスはしていられません。こうしたケース、どうしたら良いでしょうか。
難問です。可能であればという条件付きですが、シャツとタイなどの小物たちを仕事が終わったあとに変えることです。少なくとも、タイとチーフを変えることはしておきたいです。
スーツは朝、出勤時に着たままのものでいるのは当然ですから、このときに昼のオンタイムと夜のオフタイムとのバランスを考えたスーツを選ぶ必要があります。
こうなると、ネイビーの無地スリーピースが無難ということになりますが、そこは生地の質で勝負してみてください。
なお、同一ブランドで同じ型のスリーピーススーツ、濃紺、濃灰、黒のなかのどれかと、ライトからミディアムまでくらいのグレーを一着ずつ揃えておくと便利だと思います。
職場の雰囲気にもよるでしょうが、変則スリーピースを、日常から一歩離れる大人のオペラ鑑賞用のファッションとして強くおすすめします。
ジャケットを濃色、パンツを淡色にした場合、シックな印象になるというジャケパンスタイルこと、ジャケット&トゥラウザースの法則を思い起こしてくだされば、ジャケットを濃色に、ウエストコートとトゥラウザースを明るめのグレーにするという変則スリーピースが、オンにもオフにも使えることがおわかりいただけると思います。
この変則スリーピースのおすすめの組み合わせとして、これからの季節、ご自分の髪にグレーが混じってきたら濃紺のジャケットに、中と下はライトグレー、髪が漆黒に近いなら、この組み合わせのジャケットを黒にするものです。
まったく逆に、ジャケットを淡色、トゥラウザースを濃色にすると軽快に見えるというジャケパンの法則を利用することも可能です。
ただし、この組み合わせにウエストコートを加えることがひねり技です。これが、おしゃれな大人の印象を与えます。
ウエストコートを入れると、軽快なイメージにスパイシーな特別感が加味されますので、喜劇的なオペラにはぴったりでしょう。
とはいえ、真夏は海外のリゾート地以外、オペラの上演はまずありませんから、秋から次の年の初夏までの服装を考えれば十分です。
ならば、変則スリーピースになるスーツ、春夏シーズンものと秋冬シーズンものとの二組をワードローブに加えておけば、外れのないオペラ鑑賞ファッションが形作られると思います。
髪にグレーが混じってきたら、汗ばむような日は、夏物の濃紺のジャケットとオフホワイトに近いライトグレーのウエストコートとトゥラウザースを合わせ、冬は、ヘアーのグレー具合に応じて、チャコールグレーか濃灰の上着にミディアムグレーのウエストコートとトゥラウザース、ロングのチェスターフィールドコートもグレーで決めてみたいです。
あとは足元です。靴は内羽根式のストレートチップ、これで決まりです。色は、よほどの達人でない限り黒、これが鉄則です。
そして、靴下です。これが意外な落とし穴になりますので、ご注意ください。色はトゥラウザースに合わせるのはもちろんとして、ロングホーズ、いわゆるハイソックスですが、夏場でも履いてこそのファッションです。