靴好きな方ならジョンロブを知らない人はいないでしょう、いやいません。
ロンドンの『City』はニューヨークのウォール街と並び、世界金融の要と言われる街です。ここで働く、タフなバンカーにジョンロブを愛用される方が多いとか。
サビルロウで背広やシャツを誂え、足元はジョンロブで選ぶというのが、この街で成功した証しだからです。名品『CityⅡ』とは、そうした逸話から命名されました。
実際に足入れしてもると分かるのですが、数分するとフィット感が増してきます。一日中履いていてもストレスを感じることはないでしょう。
そして男らしい靴の代表格のうように紹介されることが多いのですが、エレガントで色気ある佇まいも備えています。そこにはエルメスとののっぴきならない関係が・・・。
取り巻く背景や歴史に触れながら、ジョンロブが紡ぎ出す『黒い靴』の魅力も紹介します。
ジョンロブとは?
ジョンロブの歴史
1866年、ジョン・ロブ氏が自らの名前を掲げた手作りシューズメーカー「ジョンロブ」を創業しました。
しかし、業績はなかなか上げられません。困惑する靴職人ジョン・ロブ氏はゴールドラッシュで活気づくオーストラリアに渡ります。そこで鉱夫用の靴作りがあたり、大きな成功をつかみます。
その後帰国し1862年に万国博覧会に手作り靴を出品すると、見事金賞を受賞。その実績が皇室の目にとまり、皇太子に乗馬靴を献上するなど英国王室御用達という名誉につながります。
その追い風を受け、注文靴専門店を構えると、『王室が求めた技術=ジョンロブ』の噂が一気にに広がり上流階級や政治家に向けた高級靴の基盤が整っていきました。
ジョンロブとエルメスの関係。
英国王室御用達という評判は、ヨーロッパ全土に広がります。そしてパリに出店を果たします。
当時は、あくまで注文靴専門店として営業しましたが、残念ながら1976年には経営難に陥り撤退を選択することになります。
しかしジョン・ロブの技術を認めるエルメスが買収を申し出ます。1982年『ジョン・ロブ パリ』の設立と、注文靴で培った技術を生かし既製品(レディメイド)コレクションの発表です。
最高級素材「フルグレインレザー」
多くのモデルに採用されているのは「フルグレインレザー」という最高級素材です。
日本語では「銀付き革」と呼ばれ、丁寧な処理を施した皮革の最も外側の部分で、外側に近いため耐久性が高いのですが、やわらかい質感を持ち足馴染みがいいのです。
190
既成物であっても注文靴で培った技術に妥協はありません。熟練の職人達は190の工程、50時間以上を費やして、一足のジョンロブを作りあげます。
ジョンロブの新たなチャレンジ
現在ではヨーロッパ、アメリカだけでなく、アジア圏にも進出。日本、中国、韓国、台湾にブティックを展開しています。
さらに話題になったのは、2014年からアーティスティックディレクターに女性デザイナー、パウラ・ジェルバーゼが就任したことです。
自身のブランドで活躍する一方、女性でありながら老舗テーラー「ハーディ・エイミス」「キルガー」などで修業を積んできた人物です。期待は高まるばかりです。
ジョンロブのおすすめの逸品1. WILLIAM
ジョンロブのフラッグシップモデルの一つであり、世界のジョンロブファンから長く愛され続けている名作。重厚なダブルレザーソールが英国靴らしい印象です。
アッパーには肉厚なオックスフォードカーフを採用、履き込んでいくとしなやかに足に馴染んできます。
雨の日に履いてもメンテナンス次第で、劣化することはありません。丁寧に扱ってください。長
い付き合いができるずです。
スーツよりもジャケパンスタイルに似合います。デニムスタイルの格上げにも活躍してくれるはずです。
ジョンロブのおすすめの逸品2. CITY2
5ホールの内羽式、主張しすぎない上品なつま先のシェイプ。典型的なストレートチップは金融街のバンカーに愛される理由がわかります。
チョークストライプのグレースーツ、白いドレスシャツにクレストタイのノットをセミウィンザーで結ぶ。クライアントとのパワーランチに向かう名うてのバンカー。
袖口にはアンティークのカフスボタン。男らしい紐靴がジェントルマンの足元を引き締めます。あくまでノーマルに、普通を貫きとおす。信頼に値するストレートチップです。
ジョンロブのおすすめの逸品3. PHILIP2
上のCity2と似てますが、よく見るとストレートチップの切り替えし部分にメダリオン(穴飾り)が確認できます。
通所は飾りがあるほどカジュアル感が増すのですが、このモデルに関しては華やかささえ感じるという人も。
だからと言って正式な場面では遠慮したほうが無難です。スーツ姿やジャケパンでも、少し足元にアクセントをつけたい時に重宝する、そんな1足かも知れません。