知っているジーンズブランドを挙げてくださいと尋ねれば、イチバンにくるのは『リーバイス』ではないでしょうか。使い古された言葉ですが、やはりジーンズブランドの代名詞的な存在という評価は揺るぎません。
そのリーバイスのなかで、知っているモデルを挙げて欲しいというリクエストのナンバーワンに来るのは『501』なのでしょう。
501を知るまでは、多くの場合ジッパーフロントのモデル(ジーンズに限らす、パンツ全体という意味でも)しか体験していませんから、ボタンで留めるとういうディテールの新鮮さや本物に触れた喜びを感じたものです。
このボタンフライという仕様、生地が馴染むまで開け閉めに苦労するのですが、人とは違うという優越感、少しだけ大人になれた気分を味わうことが出来たという青い思い出をお持ちの方も多いことでしょう。
確かに501はリーバイスだけでなく、デニムパンツの基本中の基本だと言えます。しかし自身の体形のせいか、ファッションの好みのためか501ではシックリこないという方もいらっしゃるかも知れません。
リーバイスのラインナップには、豊富なバリエーションがあります。個性的なシルエットも存在します。その中から納得できる、自分の好みにあった1本、いや2本が見つかると思います。
再評価が待たれるベルボトム:646
少し個性的なモデルからスタートです。
ベルボトムというシルエットは、ベルつまり鈴のように裾が広がっているボトムという意味からきています。
ウェストサイズによって異なりますが裾幅が23㎝以上、その割に太もも部分が細くしまっていることも手伝って、自身の目線から見下ろすと相当な広がりを感じるデザインです。
こちらは現在のラインナップではビンテージクロージングに分類されていて、アメリカの古き良き時代の精神を呼び起こす位置づけとなっています。
着込んだTシャツやプリント柄の長袖シャツなど、ビンテージライクな組み合わせにハマると思いますが、転じて現在のグッチが提唱している、ややデカダンスなニオイとの相性もいいと思います。
スタンダードな着こなしが中心、しかもデニムに至っては501を中心とした細身のシルエット全盛の現代にあっては、なかなか取り入れるが難しい存在かも知れません。
少しモード寄りのファッションを楽しみたいとき、また少しチャレンジする機会があるならばぜひ検討して欲しいモデルです。
影響力のあるファッションディレクターやインフルエンサーの再評価を待つことにしましょう。
美しいブーツカットフレア:517
こちらのモデルも裾に降りるにしたがって広がりのあるタイプですが、上の646ほどの標高差(?)は感じません。
カーボーイがウェスタンブーツをはくとき、キレイに見えるように設計されていて、サドルマン(サドル=馬の鞍)という別名があるほどです。
渋カジが流行ったころは、この517にウェスタンブーツではなくリングブーツやエンジニアブーツをキめた、少しワルい方々が多くしゃがんでいた事を思い出す人もいるのではないでしょうか。
またファッションブランドのNハリ(ミスターハリウッド)のルックでは、かなり色落ちした、またはコーデュロイの517を組み合わせた提案を見かけた方も多いのではないでしょうか。
さらに、スタイリストの野口強氏の着こなしでもよく登場したのが517であったと記憶しています。
501などのスリムストレートタイプとはき比べると、裾の拡がりはありますが、他者の視線からはそれほど気になるものではありません。それよりもフレアするため足長効果が期待できます。
着こなしの基本は、やはりブーツを合わせること。ウェスタンブーツが望ましいのですが、抵抗があるなら、よりシンプルなローパーブーツを選びましょう。他は普段使っている、アメリカ寄りのアイテムなら違和感はありません。
ほどよいルーズフィット:502
501に代表される、スリムストレートの人気はおそらく廃れることはなく、スタンダードなシルエットは鉄板的な存在でしょう。
しかし、昨今のビッグシルエットの流行に呼応するようにパンツシルエットもワイドタイプが注目されてきました。
同じ501であっても、ワンサイズまたはツーサイズ大き目をチョイスしてコーディネートするツワモノたちも見受けますが、501の兄弟分、お兄さん的な存在の502に注目してみたいと思います。
シルエットはどんなシーンも選ばないクラッシックなテーパードです。 ややゆったりめの太ももと、足首にかけて細くなるテーパードカットなので、着回しがきく便利なタイプでしょう。
カジュアルなシーンでも活躍しますが、濃い色を選びキレいめシャツをイン、ビンテージライクなジャケットを着こめば知的なウッディアレン風のファッションが完成します。靴は効いたローファーで仕上げましょう。
モダンなスリムフィット:511
新しいモデルに位置づけされています。511はモダンでスリムなシルエットなのですが、ストレッチが効いていて動きやすいシルエット、新たな定番アイテムに君臨しています。
ウエストラインは低めで、ヒップから太ももにかけてはスリムにフィット。 レッグ部分も細め、しかしスキニーほど攻めていないのが、世代を問わず支持される理由でしょう。
サイズ選びは、ジャストを選びましょう。もしくはワンサイズダウンという選択肢もあります。細さを生かすことが大切です。
しかしストレッチ素材を使っているので履き込むほど 馴染み、足に吸い付くようになれば離せない1本になります。
細さを生かし、短めにカットオフまたはロールアップした長さがキレイに見えます。注目されているダッドスニーカーなどボリュームある足元がバランスを保ってくれると思います。その場合は、ビッグサイズのパーカーやMA1などもあり。
大人の装いにもハマるので、その際はチャッカブーツ。カジュアルに行きたいのであればダナーやティンバーランドなら黒で、足元をシメればいい感じに仕上がります。
エクストリームスキニーフィット:519
潔い細さが、物欲を誘う1本です。スリムフィットのジーンズもいいなと思わせてくれる新しい提案のデザインになっています。
これまでのスリムタイプ、スキニータイプをさらに削りだした印象さえ残る攻めの1本です。ウエストも浅めで、ヒップから足首までの絞り込みはストレッチ素材だから可能にした構造になっています。
この手のスキニーは短めにロールアップして履くのが、ここ数年の流れでした。女性であればさらに短くカットして履く姿をよく見かけました。
しかしその反動なのでしょうか、最近目にするのはスキニータイプの裾をくるぶしの下あたりまで伸ばしスニーカーや革靴と合わせる姿です。とても新鮮で上品な印象を覚えます。
長すぎるのはNGですがハーフクッション程度の長さにして、サイドゴアブーツに被せるようにして履くのは、どうでしょう。タイツのように自由に伸縮するタイプなので余計な重さはないはず。秋冬の提案として考えてみましょう。