レザージャケット、日本的に表現すると革ジャンと言われて思い浮かべるのがライダーズジャケットと、このa2と呼ばれるフライトジャケットの2つのタイプではないでしょうか。
前者はバイク乗りの代名詞、映画ならば『イージーライダー』を連想する人も多いでしょう。後者は飛行機乗り(軍用)には欠かせないものであり、映画『大脱走』でスティーブ・マックイーンがバイクで疾走する姿を思い出す人も多いと思います。
フライトジャケットは、軍に採用される年代によってそのスペックやデザインが変化するため、熱心なコレクターがいるほどで、a2も対象になっています。
1950年代になると、アメリカではモータリゼーションの発達とともに軍モノジャケットがドライビングウェアとして若者を中心に普及していきます。中でもクセのない、完成されたデザインともいえるA2は、最も人気のあるモデルであったようです。
そうした傾向や人気は現代においても決して衰えることはありません。デニム同様にビンテージ探しに没頭するマニアがいる一方で、完成度の高いレプリカをリリースするメーカーも多いため、レザージャケットの定番として不動の位置を獲得しています。
よりオリジナルに近いモデル、ブランドをチョイスしてみました。微妙な違いを語り合うから、楽しいのです。
おすすめ定番a2ジャケット1:バズリクソンズ
バズリクソンズ(BUZZ RICKSONS)はシュガーケーン(SUGAR CANE)、インディアンモーターサイクル、 サンサーフなどアメカジウエアの老舗、東洋エンタープライズが手掛けるミリタリーウェアに特化したブランドです。
各時代のスペックを丁寧に調べ、同じa2であっても素材や仕様の違うモデルを数種リリースしています。
紹介するのは軍モノらしいクセのあるペイントが施されたタイプ。もちろんペイントやワッペンなどがないノーマルなものも存在しますが、どうせ選ぶならこうしたタイプをさらっと着こなしてこそ、積み重ねてきたセンスが生かされるというものです。
モチーフになったのは、1930年代後半、a2のコントラクターとして契約したエアロレザー社が手掛けた後期のモデルです。
a2のコントラクターの中でももっとも着やすいと評判のある同社製品ですが、台襟が省略され、赤いレンガ色のニットパーツが付けられたタイプ。これは通称“赤リブ”と呼ばれ、 身頃の濃いブラウンとのコントラストが美しく、a2の中でも高い人気を誇っています。
軍パンやカーゴパンツなどとの相性はもちろん、アメリカンなデニムとのコーディネートは鉄板中の鉄板です。しかし、まんまの組み合わせでは芸がありません。
ここはツイードのパンツに登場いただきましょう。それなりの重量感がなければいいバランスを保てません。
と、なれば靴も。レッドウイングよりもトリッカーズ、できればラギッドなソールを装着したモデルがおすすめです。
おすすめ定番a2ジャケット:リアル・マッコイ
リアル・マッコイは、ミリタリーやアメリカンカジュアル、モーターサイクルウェアを取り扱うファッションブランドです。特にフライトジャケットを忠実に復刻するブランドとして、日本だけでなく海外でも高い評価を得ています。
ミリタリーラインの「リアルマッコイ (Real McCoy)」、ワークラインの「ジョーマッコイ (Joe McCoy)」、ライダースラインの「ブコ (Buco)」の3ブランドが中心となり、よりオリジナルに近い商品を発表しています。
こちらのブランドでも、時代ごとのスペックや仕様を研究し数種類のA2 ジャケットを出していますが、敢えてなんのペイントもない”さら”のA2 ジャケットを紹介します。
モチーフは、仕官がオーダーメイドで仕立てたa2なのだそうです。手縫いでつけたネックフック、ポケットのボタンはバッファロー・ホーンを使うなど、クラシカルなディテール満載ですが、新鮮な印象が残る仕上がりになっています。
着こなしの参考にしたいのが高倉健さんです。トラッドな着こなしを基本に、ミリタリーやワークテイストのウェアを取りいれた姿がお手本です。打ち込みの強いチノクロスのパンツ(ベージュよりもネイビーがいいかな)、冬ならタートルニット、他の季節ならダンガリーのシャツ。仕上げはビンテージのSEIKOダイバーズもしくは小ぶりのGショック。
おすすめ定番a2ジャケット:ショット
米国ブランドの多くが生産拠点を中米やアジアなど他国に移す中、MADE IN USAに誇りを持ち、古き良き時代の物作りを受け継いでいる数少ないブランドがShott(ショット)
です。
第二次大戦では米軍にピーコートとフライトジャケットを納品、その後伝説とも言えるこの「ワンスター」を発表します。このモデルはマーロン・ブランドや、ジェームス・ディーンなどの銀幕のスターやセックスピストルズのシド・ヴィシャスといった数々のビッグネームが着用し、世界的な人気を獲得するに至ります。
若干細身になっているので、はじめは窮屈な印象がありますがシボ革を使っているので、着用するほどにカラダに馴染むのが実感できます。そしてそれほど重さも感じないでしょう。
画像のようにデニムに合わせるのが、何よりも合います。ならばデニムのシルエットで遊んでみましょう。柔らかいフレアが美しいLeeのブーツカット、少しい色落ちしたタイプが似合います。
ガチなウェスタンブーツではなく、リングブーツまたはペコスブーツを合わせると大人の余裕を演出できそうです。
おすすめ定番a2ジャケット:フェローズ
こちらのブランドもアメリカンカジュアルに基軸をおき、完成度の高いレプリカデニムやスエットを作ることで有名です。
コンセプトは「流行に左右されないモノ創り」。普通は気付かなディテールにまで注目し再現する姿勢はマニアだけでなく、新たなファンを増やしています。
こちらの商品は行き過ぎない程度のカスタムを施しているので、重厚感もありながら遊び、ヌケ感を思わせる1着に仕上がっています。生産数量が少ないので、運よくオーナーになれたら臆せず着続け、経年劣化を楽しみましょう。
男くさい、太めのチノパンやセーラーパンツなどミリタリースペックとの相性がいいのはもちろんですが、思い切ってブラックデニム、しかもスキニータイプを仕込めば大人のモッズスタイルが完成します。
おすすめ定番a2ジャケット:ヒューストン
ヒューストンはユニオントレーディング社が展開するミリタリーブランドです。オリジナルをモデルにし、ヒューストンならではの解釈を加えて落とし込んだ商品を多く提案し高い評価を得ています。
オリジナルのa2レザーフライトジャケットは、ホースハイド(馬革)が使用されていますが、このa2は上質なカウハイド・レザー(牛革)を採用しています。そうすることで表面のしなやかさや柔らかさが生まれ、馬革に比べ馴染みやすくまた軽量となり、着やすいレザージャケットに仕上がりました。
さらに価格の面でも、他者レプリカモデルと比べると1/3以下に押さえることができました。そのため気楽に使いまわすことで、短時間で馴染むと思います。
気楽に羽織れるので、着回しも範囲が広がります。スエットパンツなどと組み合わせたスポーツミックスなどいかがでしょう。足元は軽快なスニーカーですね。