東京から中央高速で2時間ちょっと、日帰りOKの八ケ岳エリアですが、自然豊かで水のきれいな渓流がいくつも流れる渓流釣りのメッカです。
八ケ岳山麓には川俣川、大門川、杣添川などイワナの魚影の濃い渓流が多く、2月の解禁から9月まで安定して釣りの釣果が楽しめます。
今回は、なかでも人気の高い川俣川に居付きの天然イワナを求めて釣行に出かけました。
フライフィッシング、八ケ岳山麓川俣川で天然イワナを釣る
早朝に東京を出発し、中央高速長坂インターを経て、7時過ぎには現地に到着。
川俣川は須玉川の源流部にあたる渓流で、流頭は清里高原になります。
清里高原を流れるエリアは谷が深く、山岳渓流の様相を呈していますが、下流域に近づくにつれ里川の渓相へと変化していきます。雪しろが入らないので、比較的春先から釣りの釣果が安定しています。
今回は川俣川の山岳渓流エリアに狙いを定め、主にイワナをフライフィッシングで狙います。川俣川は観光名所でもある吐竜の滝の下流部で西沢と東沢に分かれています。
今回は短い区間に沢山の堰堤のある川俣川の西沢に入って釣りをすることにしました。
まだ誰もいない川俣川近くの林道わきの空き地に車を止め、爽やかな清里高原の空気と鳥の声にしばし癒されながらゆっくりと準備にかかります。
釣りをしなければこの時間にこんな場所にはいないんだろうな?などと思いにふけりながら、ゆっくり釣りの装備を整え、いざ出発。このあたりには熊はいないとされていますが、一応一人の釣行なので、ルーティーンで熊鈴も装着。
林道を少し歩きます。朝のすがすがしい空気と新緑がとても気持ち良いです。
川俣川西沢にかかる橋の袂から少し山に分け入り、崖を下って川俣川西沢に入渓。途中川沿いの斜面に天然の藤が満開の花を付けていて、思わず見とれてしまいました。
川俣川西沢は源流部までの距離も短く、水量も余りありませんが、短い距離の間に堰堤がいくつもあり、とても釣りのポイントの分かりやすい渓流です。
川俣川の西沢は夏場には水量が極端に下がるので、春から初夏の釣りがおすすめ。川幅が狭く、樹が渓流にかぶさっているポイントが多いので、短めの竿とショートティペットが効率的。フライは春先からドライフライで十分楽しい釣りができます。
水量が少ないとどうしても魚の警戒感が高まるので、なるべく途中ストーキングをしながら、丹念にポイントを攻めて釣り上がります。釣り始めて1分程で最初のヒット。
シッカリした流れの流芯わきから良い型のイワナが飛び出してきました。早朝の低水温にもかかわらず、強い流れの中でも捕食が出来るようなので、今日は期待できそうです。
昨日から気温が上がったので、イワナの活性も上がったのかもしれません。釣れたのはドット模様が綺麗なヒレピンイワナ。ここではアベレージサイズのイワナです。
イワナ釣りの醍醐味はやはり、水面を流れるフライをめがけてイワナが飛び出してくる瞬間のスリルと、もう一つは魚体の美しさだと思います。
同じイワナでも渓流ごとにその色や模様も違います。川俣川西沢のイワナはやっぱり美しい! その後も、瀬の流芯わきや、白泡の切れ目など狙ったところから良い型のイワナが立て続けにヒット。
しばらく釣り上がると堰堤が続くエリアになります。
水量のあまり多くない川俣川西沢では、水のたまりやすい堰堤下にイワナが集まることが多く、堰堤下のプールの大きな石が入っている場所にはほぼイワナが付いています。
ただ、魚がいても深場の魚は、活性がかなり上がっていないと水面のドライフライには反応しません。
時間も10時近くなり、気温も水温もかなり上がってきたので、期待しながら最初の堰堤の沈み石の脇にフライをキャスト。
やはり見事に1投目から、石裏に隠れていたイワナが飛び出してきました。深場で釣るときは、魚が下から上がってくる様子も分かるので、水面を割ってフライに飛びつくまでの様子がスローモーションのように感じられて、一層スリルが高まります。
また、深場では活性の良い時には同じ場所からイワナが何匹も連れるので、魚が掛かってもあまり走らせすぎず、自分も水に近づき過ぎな方が釣果が上がります。今回も1箇所の堰堤で3~4匹のイワナに楽しませてもらいました。
11時前になりお腹もすいたので、堰堤下の日蔭で、途中コンビニで買ったおにぎりとお茶でランチ休憩。いつもは味気なく感じるコンビニ飯も渓流では本当においしく感じます。
沢歩きで疲れているせいもあるでしょうが、自然の中で味覚も含め五感がとぎ澄まされるようです。堰堤の滝から出るマイナスイオンを浴びながら一人で静かに、水の音や鳥のさえずりを聞いていると頭が真っ白になります。ただ、暫くすると少し不安な感じになるのが不思議です。
多分、普段身の回りにあふれている人の声や人工物の音が全くない世界だからでしょう。渓流では、たまに鹿やサルに会いますが、そんな時は驚くというよりも、何か安心感を感じてしまいます。
ランチの後、いつも行かない最後の大きな堰堤の上を探検しましたが、水流がほとんどなく、キャスティングにも殆ど反応が無かったので、まだ時間は早いですが納竿することにしました。
川俣川西沢は川俣川東沢と比べると水量も少なく行程も短いですが、その分釣り人もほとんど入らないので、春から初夏に一人でゆっくり楽しむには良い渓流です。
釣れるイワナのサイズはアベレージで16㎝~24㎝といったところですが、しっかり太って、模様も美しく、ヒレもピンとしたすばらしいイワナが居ます。
たまに地元のエサ釣りの人を見かけるので、大きな魚は大体抜かれてしまっているのでしょうが、それでもたまに餌師が狙わない様な小場所から27~28㎝の良型が出ることもありますし、ゆっくりマイペースで竿を振れるのが魅力です。
お昼前になり、高原と言えども汗ばむ陽気で、止めている車までの帰り道は汗だく。それでも時折吹く風は都会とは違い涼しく爽やかで、不思議と疲れません。
手首にはめたフィットビット(活動量計)を見ると、5キロ程度の歩行距離でしたが、足腰には程よい疲れが残っています。
八ケ岳山麓川俣川イワナ釣り紀行 まとめ
今回も十分に楽しませてもらった八ケ岳山麓、川俣川西沢のイワナ釣行、また秋に釣りに帰ってきたいと思います。