ジーンズを腰で履くルーズなスタイルが一段落すると、細身のシルエットをロールアップして履くキレイ目スタイルが浸透してきました。
そこで注目されたのが、ボリュームがあって可愛らしいデザインの『パラブーツ』です。Uチップモデルのシャンボードやアヴィニオンが有名ですが、フランスらしいローファーもラインナップされています。
ブランドとしては100年以上の歴史があり、創業当時は主に登山靴を製作していました。1945年にはチロリアンシューズの『ミカエル』が、また60年代にはアウトドア靴(ガリビエール)が評判になり、フランスの小さな靴工房の評価が広がっていきます。
実はラインナップは豊富でビジネス対応のシリーズもあるのですが、ここではカジュアルシーンに似合うモデルを中心に紹介します。
そして、その評判を支える素材選びや製法についても掘り下げてみました。
パラブーツ とは?
日本で人気があるモデル、シャンボードやアヴィニオンのオリジナルは共通の素材を使っています。
またパラブーツの名前の由来となった『パラ』は独自のソールパターンに生かされています。さらに完璧に近い防水効果が得られる製法が多くのモデルに採用されています。
パラブーツの可愛らしデザインは、こうした積み重ねがあって生まれたものです。3つの要素について調べてみました、
雨や雪に強い、リスレザーを使用
現行では様々な素材使いもありますが、シャンボートやアヴィニオンのオリジナルは、専用のグリースを染み込ませたリスレザーという素材を使っています。この素材は撥水性に優れ、雨はもちろん多少の雪であればへっちゃらです。
パラブーツは創業当初、登山靴やミリタリーシューズを作っていたため、悪条件や悪天候の中でも水がしみ込んでこない、しかも快適な履き心地を求められました。
そこで目を付けたのがリスレザーでした。
この素材のほかにも後述する製法やソールの工夫などを重ねることで、パラブーツという質実剛健ながら愛らしい靴が出来上がるのです。
タフで多彩なソールパターン
パラブーツは、ソールを自ら製造する世界で唯一のシューズブランドです。
1926年、創業者レミー・リシャールがアメリカ人が履いていたラバーブーツに目を付けたのがきっかけだと言われています。
当時はラテックスと呼ばれるゴムをソールに使うことで、登山靴や軍靴の耐久性が高まると確信しました。
良質の天然ラテックスを買い付け、ソールの自社生産を始めました。この港の名前が『パラ』といい、それにブーツを組み合わせ「パラブーツ」という社名を名乗ることになります。
天然ラテックスを100%使用し、靴のデザインや個性に合わせてソールの製造方法を変えています。それは進化を重ね、現在では20種類ほどに増えています。
最後は、やはり手作業で。
防水性や耐久性は靴自体の構造と縫製にも求められます。
多くのパラブーツ商品は、「ノルヴェイジャン・ウェルト製法」という何層にも重なるソール部分や甲部分をそれぞれ細い帯状に縫い上げる製法を採用しています。
そのため、もっとも外側にはステッチが素朴に並び、パラブーツならではの印象につながっています。このように何層も縫い重ねることで完璧に近い防水効果が得られるのです。
一連の作業の最後は手作業で仕上げられます。熟練の手仕事で、素材やソールの状態を見極めながら縫いこんでいく。素材・ソール・手仕事、どれが欠けてもパラブーツにはならないのです。
パラブーツ おすすめの逸品1. CHAMBORD
パラブーツのフラッグシップモデルのシャンボード。Uチップと言えばこのシャンボードかJMウェストンのゴルフをあげるほどの名品です。
頑丈な作りこみなのですが、可愛らしいデザインで中和されています。デニムやヘビーオンスのチノとの相性はテッパン。
また黒を選べば、カジュアルなビジネスシーンでも活躍してくれます。
デニムコーディネイト
リゾルト710とシャンボードのマリアージュ。磨き込むほどに、仲睦まじく寄り添います。
パラブーツ おすすめの逸品. MICHAEL
高原デートが似合うチロリアンデザインのミカエル、ぜひ普段使いで。
男性ならツイードパンツ、女性ならタータンチェックのスカートがキュートです。甲部分にアザラシの革をあしらったデザインですが、街歩きで注目の的です。
冬の外出も楽しくなるコーディネート
上品なコートにミリタリーテイストのパンツ。やや無骨なパンツシルエットをミカエルが優しく支えてくれます。ソックスはニットと同じ色使いで仕上げて軽やかに。
パラブーツ おすすめの逸品3. WILLIAM
ダブルモンクストラップの男臭いデザインに加え、厚みのある革質、グリップ力の強いソール。ジャケパンスタイルやカジュアルシーンの格上げに最適です。
オイル加工のフィールドジャケットやミリタリー系のレザージャケットにも負けないタフネス。